成熟度評価
ISO 55001 の認証取得をスタートラインとし、アセットマネジメントシステムを継続的に改善して、システムの成熟度を向上させていくことが重要です。
このため、JAAMでは海外の成熟度評価基準や日本のアセットマネジメントの取組みをもとに、アセットマネジメントのプロセスを
193のプロセスに細分化し、プロセスごとに解説し、それぞれのプロセスの成熟度を評価するための基準をガイドラインとして発行しています。
関連書籍:「アセットマネジメントプロセスと成熟度評価」
書籍紹介ページへJAAM 共通成熟度評価基準(概略版)
JAAM では、アセットマネジメントプロセスの成熟度評価について、下の表のようにレベル1からレベル5の5段階の共通成熟度評価基準を定義しました。
この5
段階の基準の中で、レベル1からレベル3にかけては、組織としての公式なプロセスが整備されていない個人に依存した状況から、プロセスが整備され、プロセスの文書化も進むことにより、プロセスが組織の中にビルドインされ、アセットマネジメントが組織内で構造化されていく過程を示しています。
レベル3からレベル5にかけてはプロセスが整備された状態から、そのアウトプットの質の向上を目指して、プロセスに組み込まれている継続的な改善が進み、定量的な評価が可能になって、組織の特性や規模に応じて最適化されていく過程を示しています。
さらに、JAAM
では、レベル2を「初級」、レベル3を「中級」、レベル5を「上級」とし成熟度のレベルを3段階に集約しています。
「初級」としたレベル2は、「意欲的に」アセットマネジメントに取組み始めた組織が最初に目指すべきレベルであり、「中級」としたレベル3は、アセットマネジメントが対象となる組織において構造化されたレベルであり、「上級」としたレベル5は、組織のアセットマネジメントは組織の特性に合わせて最適化されてレベルとしています。
- レベル1無関心(no interest)
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- 組織はアセットマネジメントの組織的整備に無関心である
- プロセスの相互関係の理解が薄いため、先を見越したプロセスの管理に失敗することが多い
- またプロセスの公式化、文書化はほとんど存在していない
- 組織は正常なアウトブットを生み出しているが、それは個人の力量に依存している
- レベル2初級 意欲的(willing)
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- 組織はアセットマネジメントの組織的整備に意欲的である
- プロセス活動の相互関係のある程度の理解はしているため、先を見越したプロセスの管理に成功する場合がある
- 不十分ではあるが、プロセス記述(インプット、アウトプット、及び標準手順など) が存在し、文書化されている
- プロセスに対する計画とプロセスの実施状況と成果物が管理者に把握されている
- レベル3中級 構造化(structured)
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- 組織はアセットマネジメントの組織的整備を幅広く行っているため、アセットマネジメントは組織全体に構造化されている
- プロセス活動の相互関係の理解に基づく、先を見越したプロセスの管理が幅広く実施されている
- プロセス記述(インプット、アウトブット、及び標準手順など) が組織として公式化され、文書化されており、広い範囲に適用されている
- レベル4熟達(proficient)
-
レベル3の内容に加え
- 組織のアセットマネジメントに対する習熟により、プロセス内部のサブプロセスの相互関係まで理解が進んでいる
- 定量的な技法による予測がある程度まで行われ、サブプロセスの監視に基づくプロセスの定量的目標設定を行っている
- レベル5上級 最適化(optimized)
-
レベル4の内容に加え
- 組織のアセットマネジメントは組織の特性に合わせて最適化されており、無駄な機能、コストもなく、最大の成果を実現している
- データの分析による組織的な実績の管理とこれに基づく改善を重視している
- プロセス改善は次の方法で行われる
- ー ニーズ(期待) の定量的な理解によるプロセス改善
- ー プロセスの変動、実績に対する原因分析による定量的アプローチ
- ー プロセス面と技術面の漸進的及び革新的な改善
アセットマネジメントプロセス一覧
アセットマネジメントのプロセスを下記の表のように193 のプロセスに細分化し、プロセスごとにプロセスの必要性や役割などを解説し、それぞれのプロセスの成熟度を「初級」、「中級」、「上級」で評価する基準を記載しています。