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支 援

アセットメトリクス概要

1. アセットメトリクス(Asset-Metrics)

アセットメトリクス [Asset-Metrics] は、維持補修の優先順位を検討したり、維持補修計画や予算計画を作成したりするため、一般社団法人日本アセットマネジメント協会が提供する支援ツール、あるいは支援サービスで、次のようなコンセプトに基づいて開発されたものです。

  • 現場主義・現場の実データに基づくアセットマネジメント技術の確立
  • 知識マネジメントによるアセットマネジメントの継続的改善
  • 評価技術を通じたマネジメント上の課題の発見と問題解決

インフラ資産の劣化パフォーマンスの評価(劣化予測)、さらには,ライフサイクル費用最小化、インフラ資産の価値の最大化といった工学的・経済学的視点からのマネジメントのための評価分析サービス、その他新たな課題に対する研究開発の支援サービスを、確率論や数理統計学を用いたアプローチによるソリューションを通じて提供します。
アセットメトリクス [Asset-Metrics] は、実データに基づく技術であるため、データが蓄積されていれば、いかなるインフラ資産にも対応、カスタマイズすることができます。これまで、道路(舗装)、橋梁、上下水道、鉄道、空港、情報システムなど、多様なインフラ資産のマネジメントでの適用実績があります。
また、現在、データが蓄積されていない場合にも、データベースシステムの構築方法などのコンサルティングサービスを提供します。

2. 以下のような要望にお応えします

  • 様々な要因の影響を加味したインフラ資産の劣化予測モデルを、実データから統計的に推計したい
  • インフラ資産の劣化パフォーマンスを評価したい
  • 一部のインフラ資産の状態データからデータのないインフラ資産の状態を推定したい
  • 劣化予測モデル、劣化パフォーマンス評価モデルを使ってアプリケーションを開発したい
  • その他、実データを用いたマネジメントシステム、データベースシステムを構築したい
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アセットメトリクス サービス詳細

1. サービス詳細

維持補修の優先順位を検討したり、維持補修計画や予算計画を作成したりするためのデータ分析・評価などのコンサルティングから、マネジメントシステム・データベースシステム構築のサポートまで、要望に応じたサービスを提供します。

2. インフラ資産の劣化パフォーマンス(劣化予測モデル)の推計

インフラ資産全般に対し、過去に得られた維持管理情報(点検データなど)を用いて劣化過程の規則性をモデル化し、インフラ資産の劣化特性(寿命の期待値やばらつき、劣化に影響を与える要因、など)を分析し、劣化予測モデルを推計します。
また、お持ちのデータを用いてお客様自ら劣化パフォーマンスを推計されるためのアプリケーションをご提供いたします。

3. インフラ資産の劣化パフォーマンス(劣化予測モデル)の推計

劣化予測モデルを用いた維持管理計画・保全計画策定、精緻なライフサイクルコスト(LCC)算出により、利害関係者へのアカウンタビリティの強化、社会インフラ全体の長寿命化を目指したマネジメントに関わるコンサルティングサービスを提供します。

4. 管理システム(アプリケーション)導入支援

統計分析モデル(劣化パフォーマンス評価モデル、LCC 評価モデルなど)の開発・導入を検討されるお客様には、アセットメトリクス [Asset-Metrics]の導入のためのシステム構築、カスタマイズの方法、データベース構築方法等についてご提案いたします。
また、アセットメトリクス [Asset-Metrics]・分析プログラムをご利用されたいお客様には、ご要望に応じてカスタマイズしたプログラムをご提供します(ライセンス契約)。

5. 共同研究

インフラ資産のアセットマネジメントにおける新たな課題、分析技術の高度化など、高度なソリューションが必要な場合には、共同研究プロジェクトをご提案します。

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アセットメトリクス導入までの流れ

  • お問い合わせ

    お客様の課題、ご要望をアセットマネジメントのエンジニアがお伺いいたします。
    このとき、お客様が管理されている維持管理のデータ、維持管理の実態について詳しく確認させていただきます。※初回のお打ち合わせは無料となります。

  • コンサルティングチームのご提案

    ご要望の内容に応じたベストな専門家によるコンサルティングチームをご提案します。
    高度な技術、研究的要素を含む場合にはKBRC/AMI(京都ビジネスリサーチセンター/アセットマネジメントインスティチュート) の専門家が対応します。

  • 実施方針のご提案

    コンサルティングチームは、お客様のご要望に適した業務の実施方針、実施方法やスケジュールなどをご提案します。

  • ご契約

    実施方針を確認した後に契約、業務実施となります。

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アセットメトリクスを使ってみよう

1.社会基盤施設(アセット)の損傷と劣化

劣化パフォーマンス評価

道路や橋梁、下水道等、様々な社会基盤施設(アセット)では、気温変化や雨風等による経年的な劣化、車両通行等による損傷、その他腐食、発錆や汚れ等が現れてきます。施設管理者は、アセットを長く安全に利用してもらうため、日常的にまたは定期的に損傷の有無や損傷・劣化の進行具合を確認し、状態の評価結果に応じた補修や修繕を施します。
ここで、施設の状態を把握する手段が『点検』であり、これらの点検結果に基づき、劣化パフォーマンス評価を行います。

劣化パフォーマンス評価

劣化パフォーマンス評価は様々なアセットの点検方法に適用できます。

2.劣化パフォーマンス評価でわかること

(1)活用例

公共アセットの管理者が、各施設の修繕サイクルや修繕の優先順位の決定、劣化特性の把握を行うためには、劣化パフォーマンス評価において得られる下記の情報が非常に重要となります。

  • ある劣化状態からある劣化状態までの期間(例えば、耐用年数、更新までの期間 等)
  • 劣化に影響を与える要因(例えば、材料、使用環境 等)
  • 施設の劣化特性(劣化速度のばらつき、劣化速度が平均以上に大きいかどうか 等)
劣化パフォーマンス評価でわかること
(2)分析ケースと種類

劣化パフォーマンス評価では、分析目的に応じて次の(ア)~(ウ)の3つの分析を行うことができます。
劣化パフォーマンスには分析目的に応じて以下の3つの分析が行えます。

分析ケースと内容

3.インフラ資産の劣化パフォーマンスを推計するには

(1)劣化の表現

インフラ資産の劣化を表現するには、対象施設において、ある時点からある時点までに、損傷がどの程度進行したかがポイントとなります。つまり、2時点間の損傷等の状態データを準備する必要があります。2時点間は、新設時の状態データ(例えば、供用開始年度が記録された台帳データ)と、何年か経過後の損傷状態データとの組み合わせでも利用できます。また、修繕や補修が実施されている場合には、それらの記録も必要となります。基本的には、インフラ資産の一覧(台帳データ)、劣化・故障の点検データ、補修・修繕データの3 点に基づき劣化パフォーマンスが推定されます。そこに、使用環境などのデータを付加的に用いることにより、より高度な分析が可能となります。

劣化の表現

劣化の表現
(2)必要となるデータの概念
必要となるデータの概念

4.損傷・劣化を表す指標やランク

インフラ資産の点検結果の多くは、損傷の種類別に様々な指標で計測され、その数値やランクで表記されています。ここでランクと呼んだものは、損傷や劣化の程度を段階的に表したもので、表記として記号や数字で示したものです。ランク表記(離散的な損傷・劣化指標)に対しては、マルコフ過程モデルとハザードモデル(寿命のばらつきを評価するモデル)に基づく方法論、計測数値(連続的な損傷・劣化指標)に対しては、ハザードモデルに基づく方法論が、それぞれ利用可能です。

損傷・劣化を表す指標やランク

5.劣化パフォーマンスを描く手順

劣化パフォーマンス評価は、JAAM ホームページのアセットメトリクスの頁で利用できます。

劣化パフォーマンスを描く手順

6.劣化パフォーマンス推計のためのデータの作成

劣劣化パフォーマンス推計のためのデータの作成
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アセットメトリクス導入事例

道路舗装の劣化パフォーマンス評価と予算計画の提案

劣化パフォーマンス評価

舗装における代表的な損傷・劣化事象である、路面に生じるひび割れ、わだち掘れ、段差等を評価する指標として、ひび割れ率、わだち掘れ量、IRI(平たん性)が挙げられます。それらが記録されている定期的な点検データを用いて、損傷・劣化の進行状況を把握することができます。 これらの指標を複数回測定することにより、2 時点の舗装の状態を把握し、舗装の劣化パフォーマンスの評価に用いるデータを準備します。

劣化パフォーマンス評価

2回の点検間隔がすべて同じ間隔である場合には、次頁に示す2回の点検データを各損傷ランク別に整理した結果から、前回の路面損種のランク行ごとに総計で除した数値が、マルコフ推移確率となります。マルコフ推移確率をマルコフ過程モデルにおいて用いることにより、現在の損傷・劣化状態が分かっている状態で、将来時点での損傷・劣化状態の期待値、ばらつきが評価可能となります。しかし、点検間隔が異なる場合には、より高度な統計的手法を用いて、マルコフ推移確率を推計しなければなりません。このような状況では、アセットメトリクス独自の技術である、マルコフ劣化ハザードモデルが非常に有用となります。

路面損傷の分布状況

路面損傷の分布状況

この導入事例では、上記のデータが獲得されています。例えば、左上の 953という数字は、前回の路面損傷のランクが1であり、最新の路面損傷のランクも1である舗装区間が 953区間あったということを意味します。この導入事例では、前回と最新の点検間隔が舗装区間によって異なるため、マルコフ劣化ハザードモデルを用いています。上記のデータにマルコフ劣化ハザードモデルを適用して獲得した劣化パフォーマンスカーブは次のように描画できます。
この時、舗装の劣化進行に影響のある要因を説明変数に取り入れることで、大型車交通量(舗装の設計では疲労破壊輪数の基準値の区分としてN1~ N7 の交通量区分が設定されている)や補修工法の影響を考慮した劣化パフォーマンスカーブの分析が可能です。

劣化パフォーマンス評価

劣化パフォーマンス評価

予算計画

劣化パフォーマンス評価の結果(具体的には、実際の点検データを用いて推計されたマルコフ推移確率)を用いて、将来時点に必要となる補修費用をシミュレーションによって計算することができます。モンテカルロ・シミュレーションにより、マネジメント施策(例えば、どの損傷ランクでどの工法により補修を実施するかといった補修判断基準)ごとに、将来の舗装の状態の変化と、補修費の推移の関係を併せて評価できます。シミュレーションの条件として、予算制約、補修工法・単価、補修基準を設定します。
将来の舗装状態の推移、必要補修費用の推移を算定した例です。

中長期予算計画(計算結果イメージ1)

計算条件

計算条件

以下のように、道路舗装の将来の管理レベルと補修費用の関係から、適切な管理レベルと年間の補修費用を検討するための分析を行うことも可能です。
このような情報を提示することにより、道路管理者のアセットマネジメントにおける意思決定をサポートできます。

(ア)現行の予算で推移した場合:
早急に補修が必要なMCI が2以下の舗装区間の割合が増加し、50年後にはその割合が40%に達するほど舗装の状態が悪くなる。

(イ)現状の管理水準を維持する場合:
現状の補修事業費用に対して、1.6 倍程度の費用が必要となる。

(ウ)目標管理水準を達成する場合:
数年以内で基準値以下の箇所を補修し、その後、目標管理水準を維持するために必要な予算を平準化させた例であり、最初の5年間は当初予算の2倍を投入し、その後は現状の補修事業費用に対して、1.8 倍程度の費用を投入することにより、目標管理水準が達成できる。

中長期予算計画(計算結果イメージ2)

(ア)現状の予算水準を維持した場合

現状の予算水準を維持した場合

(イ)現状の管理水準を維持する場合

現状の管理水準を維持する場合

(ウ)目標管理水準(MCI ◯以上)で維持する場合

目標管理水準(MCI ◯以上)で維持する場合
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